統合失調症・治療抵抗性統合失調症の治療

統合失調症の治療
統合失調症の主な症状は、大きく分けて以下の4つに分類されます。
1.陽性症状(健康な時にはないものが現れる症状です。)
幻覚: 実際にはないものを感覚として感じる症状です。特に、幻聴(実際にはない音が聞こえる)が多いです。
妄想: 明らかに誤った内容を信じてしまい、周囲が訂正しようとしても受け入れられない考えのことです。
例:「誰かに監視されている」「自分の考えが盗まれている」など。
まとまりのない言動: 話の内容が飛んだり、支離滅裂になったりします。
行動が奇妙になったり、目的のない行動を繰り返したりします。
2.陰性症状(本来あるべき機能が失われる症状です。)
感情の平板化: 感情の起伏が乏しくなり、表情が乏しくなります。
意欲の低下: 何に対しても意欲がなくなり、身の回りのことができなくなります。
思考の貧困: 話の内容が乏しくなり、会話が続かなくなります。
社会的引きこもり: 人との交流を避け、孤立するようになります。
3.認知機能障害(思考力や判断力などの認知機能が低下する症状です。)
注意・集中力の低下: 集中力が続かず、注意が散漫になります。
記憶力の低下: 物事を覚えたり、思い出したりすることが難しくなります。
実行機能の低下: 計画を立てたり、段取りを組んだりすることが難しくなります。
4.気分症状、うつ状態、不安焦燥感、自殺念慮
これらの症状は、人によって現れ方が異なり、また、時期によっても変化します
当院では薬物療法、精神療法、集団療法などを組み合わせ、長期的な視点で治療を行います。
>> 詳しくはこちら
治療抵抗性統合失調症の治療(クロザピンの治療)
治療抵抗性統合失調症とは、(1)2種類以上のクロザピン以外の抗精神病薬では十分な効果がなく、幻聴・幻覚などの状態が長引いている統合失調症、あるいは(2)今までの抗精神病薬で重篤な副作用(遅発性ジスキネジア、重度の錐体外路症状)が出現し、治療継続が困難だった統合失調症の方です。
クロザピン治療は、適切な管理のもとで行えば、この2つのタイプの患者さんの症状を改善する事が期待できます。
治療内容
当院では2016年11月から治療抵抗性統合失調症への治療として、クロザピン治療を行っています。
ただ、全ての方にこの治療が行なえる訳ではありません。
まず、説明を受けた患者さんご本人が治療することに同意をする必要があります。
糖尿病や心臓疾患などがある患者さんは、症状を悪化させる場合がある為治療できません。
治療するにあたっても、無顆粒球症(白血球減少)などで発熱や心疾患などの副反応がでることがあるため、治療を始める前から入院をしてもらう必要がありますし、定期的な採血が必要です。
退院後は2週間に1回の通院治療が必要になります。
頻回な通院のため、ご家族の協力も必要です。
クロザピンを使用してみたい、クロザピンが適応するのか知りたい、クロザピン治療を通して症状を改善してほしい、などありましたら主治医までご相談ください。
※クロザピンの開始にあたっては、専門の講習を履修した医師による治療、およびシステム(CPMS)への登録、第3者機関に血液検査の結果を報告することが義務付けられています。